髪型

髪型には無頓着なほうである。しかしながら、最近の髪型はそんな自分でもわかるほどまずいことになっている。私の頭は真ん中がへこんでいるのだが、面倒で切らずに放置していた髪のウェーブがたまたまそのへこみにマッチしてしまい、鳥の巣のようになっているのだ。先日は、今まであまりそういうことを言ってこなかった同期に「ちょっと……髪型がキモすぎる」とど直球で言われ狼狽してしまった。

そういうわけで、人生で初めてスタイリングフォームというものをつけてみた。もちろんいきなり本番に突っ込んだりはしない。私はそんなに馬鹿ではないからだ。休日を利用して、鏡の前でセットをしてみる。我ながらいい感じに決まった。

さて本番である。リハーサルに負けず劣らずなセッティングをし、意気揚々と大学に向かった。すがすがしい景色が広がっている。まるで私の髪のようだ。ところが学校で会った友人は何も言ってこない。じらしているなこいつめ。しかしどうしたことだろう、その日は何も言われなかった。

こんなことでくじける私ではない。翌日さらにさわやかさを強調したセットをして、得意満面で大学へ向かった。すると、出会った友人が早速声をかけてきた。

「どうしたの?疲れたサラリーマンみたいな髪になってるけど大丈夫?」

私は散髪屋に行く決心をした。